
為末大さんの『諦める力~勝てないのは努力が足りないからじゃない』の書評です。これはいい本です。。しかも現在、Amazonでは値下げされています!
諦めるって一般的にネガティブな言葉と思われがちですが、ここではポジティブな意味で「諦める」ことを勧めています。それはどういうことなのか?ひとことで言うならば、
自分の強みを見極め、もっとも勝てる確率が高い領域で戦え。そのためには、苦手なものや向いてないものを”明らかにして”、”諦める”べきだ。
つまり「諦める」とは「明らかにする」という言葉と同義であるというのです。諦めることは、ものごとから逃げているのではなく、自分のおかれている状況や能力をよく理解し、自分がいちばん活躍できる場所をさがすという立派な”戦略”なのです。
たいして努力せずとも勝てることを探せ
自分の強みを見極めて勝てる領域を探すことは、戦略として非常にすぐれています。なぜなら、苦手なことをいくら努力しても、得意な人には勝てないからです。同じ努力量なら、もともと得意な人が勝つことは当然です。自分の得意なことなら、少しの努力でどんどん上達していきますから。
人間には誰しも、得意不得意があります。不得意なことを頑張って人並みにするよりも、得意なことを伸ばしていった方が圧倒的に高みを目指せます。
目的を見据え、手段は変えていけ
自分の強みを発揮する際に大切になることは、「目的を見据えて、手段は変えていけ」ということです。つまり、目的は変えてはいけないけど、手段はこだわることなかれ、ということです。これに関し、この本の中ででてきた為末さんの例をあげていきます。
為末さんは陸上選手として、はじめは100m走を専門として競技していました。しかし100mは、陸上競技の中でも花形であり競技人口が多く、もっとも勝ちにくい種目でもあります。
そこで為末さんは自分に問いかけました。「自分の最大の目的は100mを走ることではなくて勝つことだ。だったら熾烈な100mにこだわらず、もっと勝ちやすい競技に移ったほうがいいのではないか?」
そして為末さんは400m走に競技を変更し、そこで活躍することになるのです。
「勝利」という最大の目的を見据えたからこそ、「100m」という手段を諦めることができたのです。
このように、自分の特性を知り、勝ちどころを明らかにして、勝てないものをスパッと諦めることが戦略として必要なのです。
他人の評価を基準にするな
日本人はとかく、他者の評価に振り回されがちだと為末さんは言います。ランキングで一位になることや、なにかの賞に選ばれることなど。でも、人からの評価なんてすぐに移ろいゆくものなのです。そのような「他人由来の幸福」ばかりを求めていても人生を消耗するだけです。
大事なのは「自分なりの軸をもつこと」だと言います。社会の評価など関係なく、もっとも優先すべきは「自分の感覚」であり「自分なりの幸福」です。
他人のルールに染まらずに、自分のルールをつくってしまう。自分だけのランキングで生きていく。必ずしも競争がいいわけではなく、なるべく人が手をつけていない領域で戦うことが、勝負の鉄則です。
まとめ
まとめます。「苦手なことや向いてないと感じることは切り捨てて、自分が得意で、少しの努力でいちばんになれることを探す。そのために大きな目的は見失わず、手段はどんどん変えていく。そこに他人の評価は関係なく、自分の感覚を優先しろ。」
ということです。
多様な生き方が認められてきて、さまざまなものが容易に手に入る現代だからこそ、自分のやりたいことや得意なことを見極めて、伸ばしていくことが求められます。
どうか「諦める」ということをもっと気軽に、前向きにとらえていきましょう。
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